Posts

Showing posts from October, 2020

マン・キ・バート(第16回) 2020年9月27日放送

 国民の皆様、ナマスカール。新型コロナのパンデミックは、世界中に様々な変化をもたらしています。今、他人と2メートル以上の距離をあける「ソーシャル・ディスタンス」が必須になりました。その一方で、家族の絆が強くなり、家族のそれぞれを今まで以上に身近に感じるようになりました。けれども、これ程の長い期間一緒に時間を共有して、いつも楽しく家族で時間を過ごすことは可能なのでしょうか。このことに困難を覚えている家族もいるようです。それは家族の中に「サンスカール・サリタ」、つまり川のように脈々と流れていた伝統という流れが消えかかってしまっているからなのです。その「伝統の流れ」がまるっきり途絶えてしまった家族もあるように思われます。そのせいで、コロナ禍のさ中にあって、家族として時間を過ごすのが難しくなってしまっているのです。どんな家族にも誰かしら「年配者」がいます。かつては家族の年長者が家族の他のメンバーに、何かしら「物語」を語っていたものです。そして聞き手の家族にインスピレーションや、ある種の「エネルギー」を与えていました。我々の先祖が連綿として伝えてきた慣習・様式がどれ程素晴らしく、大事なものであったか、それが消えてしまおうとしている今、より深く感じざるを得ません。そうした慣習・様式の一つが、私が今言った「物語を語ること」つまり「Storytelling」なのです。  皆さん、「Storytelling」の歴史は、人類の文明が誕生したときから始まっています。 ‘where there is a soul there is a story(魂があるところには物語がある)’ 「物語を語ること」は、人間の創造性と感受性を前面に押し出し、それに表現の場を与えることなのです。「物語の力」は、母親が子どもを寝かせるときに、あるいは食事を与えるときに「お話」を聞かせているのを見れば、自ずと明らかでしょう。 私は自分の人生において、長い間「さすらう苦行僧」のような生活をしていました。「放浪すること」が私の人生だったのです。日々新しい村を訪れ、見知らぬ人々と出会いました。どこかの家族に招かれると、その家の子ども達と話したものです。そして、子ども達に「何かお話しを聞かせてくれないか」と言いました。すると、驚いたことに、子ども達は私に言うのです、「いや、おじさん、お話しじゃなくて、ジョークを聞か...